先月29日の日銀・金融政策決定会合で発表された”マイナス金利”が、今週16日から実施されました。発表直後からその有効性・国民への影響等、様々な意見が出ているようですが、全体としての印象では、幾分マイナスの影響との声が多いようです。
日本の長期国債の指標である10年国債の利回りは、1月29日以降日々下げていき、2月9日に史上初めてマイナス利回りを記録しその日の取引は、結局-0.023%で引けました。その後、今週の取引が引けるまでに終値でのマイナスこそありませんが、取引時間中では、金曜日も含め4日マイナス利回りを記録した日がありました。参考までに同期間の米国債10年の利回りは、1.900%台から最低で1.535%を付けましたが金曜日の終値は1.749%と幾分上げて引けております。
”マイナス金利”の一般国民への影響として挙げられているもののうちデメリットは、預金金利のさらなる低下です。これまでも日本の普通口座預金の金利は最低と言われていましたが、”マイナス金利”を受けさらに低下し、いよいよ来週月曜日22日からは、日本の大手三大銀行である、東京三菱UFJ、三井住友、MIZUHO銀行がそれぞれ同金利を0.001%と設定しました。これまではそれでも0.020%でしたから一気に20分の1となり、100万円預けても1年で10円の利息しかもらえないという惨状です。一方、メリットとしては住宅金利のさらなる低下となるでしょう。東京三菱UFJが19日発表したプレスリリースによりますと、米国の代表的な30年固定型と比較しますと、3月適用分から同金利は1.430%になるとのことです。(下記ご参照ください。)
アメリカでの”マイナス金利”の導入はないのでしょうか・・・?
昨年12月には利上げに踏み切り、今年に入ってからも追加利上げの可能性を未だ排除されていないことを考えますと、残念ながらこちらでのその実現性は乏しいとの印象です。が、2月11日に、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の上院での証言・質疑応答の内容によれば、2010年に一度、”マイナス金利”は検討されたそうですが米国においては上手く機能しないと結論付けられました。ただ、ECB(欧州中央銀行)や、その他欧州諸国並びに日銀が新たに導入したのを受け、”マイナス金利”についての見直しはされ始めたとのことです。再び追加緩和の必要が生じた場合に備えておきたいためで、米国の制度に併せて機能するかどうかも含め現在、評価・検証をしているところとのことです。同日にはJP Morganのエコノミストが、イングランド銀(英中央銀行)や、FRBでさえも”マイナス金利”政策の採用を迫られる可能性があるとの見解を発表しています。
もしかしたら・・・は、あるのでしょうか?!