審査基準

住宅ローンが借り手を主な審査対象とするのに対し、アパート・商業ローンは、抵当となる物件自体が主な審査の対象となります。その主たる指標となるのが D.C.R.:Debt Coverage Ratio と呼ばれているもので、要求されるローン支払額に対する物件からのキャッシュ・フローとの比率のことです。債権者・銀行の中には、クレジットがあまり良くない借り手からの申請を受け付けるところもありますが、多くは個人のクレジットや、借り手事業体の信用度が良好であることを要求しています。また、多くは L.T.V.:Loan To Value にも制限があり、ある程度の自己資金が必要となっています。 債権者・銀行は、借り手事業体の業績を審査の対象として、それが安定して利益を出していることを要求しています。そのため、将来の支払い能力を精査するために、事業計画書や、長期にわたる資金計画などの書類提出を求める場合もあります。

D.C.R.: Debt Coverage Ratio

投資家が、 Cap. RatesGross Rent Multipliers を投資判断の一助とするのに対し、アパート・商業ローンの債権者・銀行は、Debt Coverage ratio (DCR) と呼ばれる指標で審査します。

DCR = Net operating income ÷Annual Debt Service

債権者・銀行がより高いDCRを要求するということは、ローンの支払いをするに足る十分なキャッシュフローがあることを確証するためです。多くは、例えばアパートメント・ローンの場合、DCRが1.15以上あることを要求しています。

L.T.V.: Loan-To-Value ratio

ローン金額と、物件評価額との割合を%で表示したもの。例えば、物件評価額$100,000に対して、$75,000のローンを申請する場合、L.T.V. は、75% といいます。

下記に、 あなたがアパート・商業物件への投資を考えている場合に役に立つ算式や指標となる比率を挙げておきます。投資物件の価値判断をするための理解が深まれば、実際の取引において優位な立場にいることができます。アパート・商業物件投資は、物件の状態、市場の状況はもちろんですが、それよりもこれら指標など厳密に算出された数字に基づいて判断できるものでもあります。もし、投資に成功したければ、最低限これらの指標は今すぐ理解するようにしてください。

■ Capitalization Rate

買い手、あるいはそのエージェントが Cap. rate について問い合わせてくる時、それは、Capitalization Rate を意味しています。この指標は、投資物件の収益率を計る上 で、広く利用されているものです。Cap. rate は、物件の種類、状態、エリアや、融資可能なローンの有無等により大きく異なる場合があります。また、この指標は、同じエリア内の類似した物件と同程度であるかどうかを比較することにより、その投資対効果をすぐに見分けられるものでもあります。物件の市場価値と、初年度の純収益との関係により算出されます。

Net Operating Income ÷ Value = Cap. Rate

Net Operating Income ÷ Cap. Rate = Value

Value X Cap. Rate = Net Operating Income

■ G.R.M.: Gross Rent Multiplier

古くから利用されている、物件の価値を計る手段として Gross Rent Multiplier(G.R.M.)というのがあります。 非常にシンプルな算出手段によるためです。ただ、そのために多少、正確さや信頼性に欠ける部分がないとは言えません。例えば、G.R.M.は、 資金調達に伴うコストや、運用費などの基礎的な投資判断となるものが考慮されていません。ただ、その反面、G.R.M. は、簡潔で大まかではありますが、同じエリア内における類似した物件と、すぐに比較することが可能です。物件の市場価値と、年間予想総収益との割合で算出されます。

Market Value ÷ Gross Income = Gross Rent Multiplier

Gross Rent Multiplier X Gross Income = Market Value

■ N.O.I.: Net Operating Income

投資家が物件を購入する際、外観などをもとに購入することはありません。物件よりも、その物件からのキャッシュ・フローを買うと言っても過言ではないでしょう。アパート・商業不動産の価値は、数字や指標によるところが多く、その中でも最も大切なのは、その物件からの Net Operating Income です。 Net Operating Income(NOI)は、価値を決定付けるうえで、最も重要な指標であると言われています。総収益から、空室率と運用費を 差し引いて算出されます。

Scheduled Gross Income + Other Income (Laundry, Garage, etc.)

Less: Vacancy Factor = Effective Gross Income

Less: Operating Expenses = Net Operating Income

銀行、あるいは不動産鑑定士が利用する簡潔な N.O.I. 算出方法として、空室率(Vacancy Factor) は5%、運用費 (Operating Expenses)は35% を利用される場合があります。